ロックンロールはサブカルチャーの夢を見るか

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90年代後半、あの頃の空気[その1]

僕は最近になってよく思うことがある。

20代後半らしき人たちが電車の中で、ネットでよく「あの頃に戻りたい」「90年代のあの輝かしいころに戻りたい」「あのころはみんな楽しそうだった」

そんな発言しているのだ。

わからないでもないし、実際僕自身も戻りたいと思ったことはある。

しかしそれは外側の空気であることに気付いてほしい。

漫画、アニメ、特撮、音楽、小説etc。。。サブカルや一部の娯楽に目を通すとそこには決して輝かしい、皆が楽しめるものや明るい作品などが少ないのである。

そう、90年代後半は最も暗かった時代でもあるのだ

90年代後半にこういったジャンルを好んで見ていた、読んでいた、聞いていた人達はもしかするとピンときているかもしれない。

僕は昔からあの頃に暗い作品が多い理由として所謂世紀末という実体のない事実というものがあると思っていたがどうやらそれだけではないみたいだなとも感じてきている。

 

やはり一つの原因としてはエヴァンゲリオンが入ってくるだろう。影響を受けた受けなかった関係なしに作品が出た後の空気感にはどことなくこの作品がちらつくことがある。この作品が残した功績の一つに哲学、意味深なものがある雰囲気をだす、ファンがそれぞれの考えを交換し合うような場を創り上げたというものがある。エヴァンゲリオンの前からもそういったものはあったのだが(特に小説やSF映画についてのファン交流場というもの)ネットというものがお金のあるオタクたちの中で栄えてきたこともあり掲示板などで実際に合わずとも互いの考え、意見を話し合えるようになったのだ。

さらにはスポンサーなどがこぞってエヴァンゲリオンのようにしていれば売れると思い込みあらゆる作品に勘違いのようなものを起こしてしまったのもある。

 

エヴァンゲリオン以降のアニメ、漫画、ゲームにおける90年代後半の空気は極端に分かれていた。

これでもかというぐらいにSFや哲学を盛り込み、さらに作品全体の空気が重く、しっかりとしたハッピーエンドが少ない作品。

もう一つが秋葉原、オタク、オマージュ、萌えを意図的にジャンルとして成立させる作品。この二つである。どちらとも00年代前半まで尾を引いていることが共通だ。

 

まず前者の方なのだが、こちらはネット社会、テクノロジーの発達に伴いでてきた作品であったり、エヴァンゲリオンを少なからずとも意識し創り上げられたものなどがある。

こういった作品は後にセカイ系と呼ばれるようになり00年代初頭に爆発的に流行るようになる。セカイ系とは、主人公(ぼく)とヒロイン(きみ)を中心とした小さな関係性(「きみとぼく」)の問題が、具体的な中間項を挟むことなく、「世界の危機」「この世の終わり」などといった抽象的な大問題に直結する作品群のこと」である

セカイ系 - Wikipedia より

前者の説明として代表例としては【Serial experiments lain】、【今、そこにいる僕】、【無限のリヴァイアス】などがある。

詳細についてはそれぞれ自分で検索をして調べてほしいのだが、とにかくこのような暗く、SFが絡んでいるアニメが多かった。

 

後者の方はとにかく秋葉原という街、そしてオタク文化(まだアンダーグラウンドだった)を焦点としたもので、こちらは比較的明るい作品が前者と比べれば多い方である。

代表例は【アキハバラ電脳組】、【デ・ジ・キャラット】などがある。

明るい何も考えずに見れる今でいう日常系、萌え系のような作品はこのようなものであった。しかしアニメ全体の中でこのようなジャンルを占める割合はまだ少なく、市民権を今ほどは得ていなかった。

 

話を戻そう。アニメに関してはこのような背景があり90年代後半は暗い、決して明るいものばかりであって輝かしい年代とは言えないと僕は思っている。

当時僕が見ていた作品などが暗いものばかりだからそう感じているのかもしれない、それでもやはりどこかあの時代の独特の空気を忘れることができないままなのだ。